「青の洞窟」見聞録"2000.8.2"



 ナポリのユースホステルで話を聞くまで、僕自身も「青の洞窟」がなんであるかまったく知識がありませんでした。でも多くの人がそこを訪れ、満足して帰っていくようです。しかし、海が荒れていて波が高すぎれば洞窟に入れず、みることができないようですし、太陽光線の具合なのか午後になると奇麗な色ではなくなるらしいです。

ユースホステルの近くのリストランテにて  そのため、せっかく洞窟のあるカプリ島まで足を運びながら、満足に見れず、帰途につかざるを得ない人々も少なからずいるようです。

 今回は、ナポリのユースホステルで知り合った旅仲間 Satoshi,Kumi & Miwa の3人とともに、カプリ島(Capri)に出かけました。

 カプリ島に行くにはいくつか行き方がありますが、ユースホステルからだと最も手っ取り早いのはメルジェリーナ港からSNAV社の高速フェリーを使う方法です。心地好い潮風に吹かれながらフェリーに揺られること約45分で、カプリ島の港に到着します。料金は2万リラ(2000年8月現在、以下同様)。
 そこからまた船か、バスで青の洞窟(Grotta Azzurra)の入り口まで行きます。

 直行の船ならあまり時間はかからないようですが、2万リラします。バスの場合は、一旦アナカプリという町まで行って、乗り換えねばなりません。この方法だと、1800リララ2で、たったの3,600リラで済みます。しかしバスの本数は少なく、目的地に着くのに1時間から1時間半は覚悟したほうが良いでしょう。

 因みに私たちはバスを選びました。料金が格安なのも理由の一つですが、「バスの方が島の景色が良く見える」という、数年前に一度来たが見れずに帰った、Satoshi の強い薦めでもあります。
 実際カプリ島の山並みや、切り立った海岸沿いの崖など、バスが葛折れの坂を登っていくにつれて景色が移り変わっていきます。

青の洞窟の上からの風景  現地に着くと、見物客で混んでいる場合は並ぶことになります。下りの階段に並んでいる間、洞窟に入ろうとする船と、洞窟から出てくる船が眼下に行き帰するのが見えます。

 ごくまれに、だと思いますが、船から降りるときに足を踏みはずして海に落ちる方がおられるようです。
 今まさに、年配のご婦人がそうなり、パニックの為手足をバタバタさせ、助けようとする人々の手をなかなか捕らえられずにいます。随分長くそういう状態でしたが、そんな合間にも面白がってそれをビデオに収めようとするイタリア人のおじさんがいるかと思えば、同じグループの人達数人を列の後から呼び寄せる先頭の人達にブーイングがとんで険悪な雰囲気になるなど、様々です。
 そんななかからも、この「青の洞窟」を一度は見ようとする人々の気迫と情熱が伝わってきます。

 そうこうするうちに、私たちに小船に乗り込む順番がまわってきました。はやる気持ちを押さえながら、4人は慎重に子船に乗り込みます。全員乗り込むと、船頭は手慣れたオールさばきで、チケットを売る船まで子船を進めます。
 チケットは2種類で、船で案内してもらう料金7,500リラと、イタリアの国家機関の徴収料8,000リラです。別々の船で徴収されるのでなぜ2度も払うのかと疑問に思いますが、レシートやチケットを受け取れば納得できるでしょう。

 料金を支払ったら、あとは洞窟に入る順番を待つだけです。

青の洞窟の入り口 順番に、一隻が入れば、一隻が出てきます。
三隻ほど出てくるの待ったでしょうか、ようやく僕らの番です。
洞窟の岩にぶつからないように頭をできるだけ低く保ちます。
そうすると、何も見えなくなります。
見にきているのに何も見れない・・・そんなジレンマに耐えながらしばらく頭を低く保ちます。

ふと気がつくと、あたりは暗闇に包まれています。
それもそのはず、ここは洞窟の中です。
おそるおそる頭を上げ、小船の縁から下を見てみました。
なんという透きとおった青なんでしょう。

ハッと我にかえってようやく気づきました。これが「青の洞窟」の「青」なんだと。
青の洞窟1 「底抜けに青い海」とでも表現すれば良いのでしょうか。
かの有名作家が「限りなく透明に近いブルー」という題名の本を書いていますが、
本の内容はさておき、青の表現としてはかなり近いと思います。

 このように言葉では表現し難いものがありますが、このデジカメのフォトとてそのものを伝えきれているわけではありません。
 これはあくまでもカメラのレンズを通したアナログ画像を、CCD素子で捕らえ、デジタル信号に変換したものに過ぎません。それをディスプレイ上で目に見えるかたちにして表示しただけです。当然表示するディスプレイの機種やセッティングによって見える色も様々に変化します。
 オレンジ・ジュースに例えれば、手を加えないストレート・ジュースではなく、いわゆる濃縮還元されたものに過ぎないのです。

青の洞窟2  我に帰った後でも、驚きで冷静に考えることができなかったようで、夢中でデジカメのシャッターを押していたようです。間違ってフラッシュを炊いて真っ暗になってしまったものに加え、船の揺れによるブレ、ピントのズレ等失敗作がほとんど。十数枚のフォトの中で生き残ったのは数枚です。

 それぞれのフォトに記録されたタイムスタンプから計算すると、洞窟の中にいた時間は4・5分、しかし青を感じたのは記憶の中では一瞬でしかありません。これらのフォトは、その記憶のいくばくかを思い起こさせてくれます。

同行メンバーの記念撮影  頭の中が「真っ白」ならぬ「真っ青」になった後は、その余韻を抱えながらバスでアナカプリに戻り、レストランで食事をしましたが、やはりここは観光地、ふにゃふにゃのゆで過ぎかゆで置きのパスタにラグー(ミートソース)がのって出てきました。

 それでも、そんなに文句が出なかったのはおなかが空いていたからでしょうか? お腹が一杯になったら、次は泳ごう!ということで、バスで海岸に降りることにしました。ローマに旅の連れを置いたまま出てきたMiwaは、ナポリ発の列車の時間が心配ということなので、ここでお別れです。

カプリ島マップ  泳いだ海岸は残念ながら秘密ですが、そこの水は当然青の洞窟と同じく、限りなく透きとおった”青”を形作っている水には違いありません。ただ、その青は、なぜか"Grotta Azzurra"しか見ることができないようです。

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